A その可能性が高いでしょう、とまでしか言えません。
答弁書で時効を援用した後、相手が裁判を取下げてくることはよくあります。
しかし、取下書には理由が書いてないことが多いので、時効を認めたから取下げるのか他の理由により取下げるのかはっきりしません。(時効に反論がないから取下げるケースがほとんどではありますが。)
【1】相手に直接連絡して確認する
そこで、相手に直接連絡して、時効を認めるのかを確認し、時効を認めるのであれば、契約書を返還するよう求めたり、債務不存在証明書の発行を依頼したり、債権債務なしの確認書なり和解書なりを締結するなどしておくと安心でしょう。
取り下げた後に再度請求してこないのか?
裁判が取下げられると裁判は初めからなかったことになります。
民事訴訟法第262条第1項
訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。
通常、裁判を取下げた債権者は時効消滅で社内処理を行い、再度請求してくる可能性は極めて低いのですが、「裁判取下げにより答弁書での時効の援用もなかった」として、再度請求されることが心配な人もいるようです。そのような人は、
- 時効消滅で社内処理が完了しているか相手に電話で確認しておく。
- 上記のように書類をもらっておく。
- 債権者が「時効は認めるものの、書類の発行はしない」という場合は、担当者の名前を聞き、会話を録音しておく。
- どうしても書類を残しておきたいという場合は、時効援用通知を配達証明付き内容証明郵便で送って時効を援用した証拠にする。
などしておくと安心かと存じます。
取下同意書について
取下同意書を提出した時
取下同意書を提出した時は、裁判所へ届いた時点で取下げの効力が発生し、裁判は終了します。
裁判は開かれませんので、出廷の必要はありません。
すぐにでも同意して裁判を終わらせたいと思う方が多いかもしれませんが、相手が時効で社内処理を完了してるかを確認した上で提出するのが無難でしょう。
提出しないで放置した場合
なお、取下書を受領後、2週間以内に応答しない場合も、取下げに同意したものとみなされ、裁判は終了します。
【2】相手に直接連絡したくない時
もし、相手に直接連絡するのが嫌な場合は、取下げに同意せず、棄却判決を求めるという方法もございます。
具体的には、
- 取下不同意書(裁判所の用紙が同封されているときは、「同意しない」にチェックする)を取下書受領後2週間以内に裁判所に届くように提出します。(2週間以内に提出しないと、取下げに同意したとみなされます。)
- 呼出状に記載された期日に裁判が開かれますので、裁判に出頭して、棄却判決を求めます。
取下不同意書を提出したが、裁判には出頭しなかった場合
通常、取下書を出している原告(相手)は出頭しません。
訴訟を続ける気がないからです。
あなたも出頭しないなら双方欠席となり、裁判は休止されます。
その後、1か月以内に期日指定申立をしないで放置しておくと、取下げたものとみなされます。
「答弁書を提出しているから、出頭しなくても陳述したものとみなしてくれるはず。」というのは、双方欠席の場合は当てはまりません。
棄却判決を求めるのであれば、出頭する必要があります。
まとめ
この記事を読んで、「ネットの情報をまねして自分で答弁書を書こうと思ったけど、その後も面倒そうだ」と思われた方は、司法書士、弁護士に依頼したほうがよいかもしれません。
「知っていることばかりじゃん。」と思われた方はご自身で問題なく処理ができると思われます。
動画
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- 文章を読むのに疲れた方は、耳から聞くのが楽ですよ。