A 1社に時効を援用したことが原因で、他社からの請求が復活するとは考えにくいです。
よく受ける質問です。
当事務所に来所される方の3人に1人くらいの割合で質問されます。
この質問の前提
例えば、A社、B社の2社から借りていた借金を同じように5年以上放置しているとします。
A社からは請求書が届いていますが、B社からは最近は何の書類も届いていません。
A社に時効を援用したら、B社がそのことを知り、請求を復活させるのではないか?と心配してのご質問のようです。
A社に時効を援用したらA社から他社にその情報が流れるの?
A社に時効を援用したからといって、その情報が他社に流れるようなことはありません。
A社とB社は別会社です。
A社の顧客の情報が他社に簡単に漏れるのであれば、A社の管理体制は大問題です。
A社とB社の担当者が友達で飲んだ時に情報交換しないか?
A社とB社の担当者がたまたま友達で飲みに行く仲だったとして、「誰々から時効の援用があってさ~」などと居酒屋での話題にするでしょうか?
貸金業者に勤めていたら時効の援用を受けることなど珍しくもありません。
わざわざ酒の席で話題にするほどのことではありません。
信用情報機関に照会して知ったら?
B社が信用情報機関に加盟していたとします。
仮にB社が定期的にあなたの信用情報の照会をしていたとします。
(通常取引中やカード更新の時期であるならまだしも、長期延滞中で信用のなくなった顧客について定期的に照会をかけている貸金業者があるかは不明ですが。)
照会データを見て時効の援用があったであろうことを感づいたとしても、次の通り請求が復活するとは考えづらいです。
万一、B社が知ったと仮定して
何らかの理由であなたがA社に時効を援用したことをB社が知ったと仮定しましょう。
B社は時効の援用という制度を知っているあなたにコストをかけて請求書を送りたいでしょうか?
裁判を起こしたいでしょうか?
あなたに請求書を送ったり、裁判を起こしたとしても、時効を援用されて終了です。
B社としては、請求書を送ったり、裁判を起こす労力をかけたい対象は、時効の援用という制度を知らず、払ってくれる可能性のある人です。
B社がA社に時効の援用をしたことを知ったとしても、わざわざあなたをピックアップして請求を復活させるとは考えづらいです。
では、今後もB社からは請求はこないの?
いえ、A社に時効の援用をしたかどうかにかかわらず、順番がくれば請求書は届くようになるでしょう。
B社自身からではなく、B社から依頼を受けた法律事務所だったり、債権譲渡を受けた債権回収会社から請求書が届くかも知れません。
時効期間が過ぎていても勝手に借金は消えませんので、いずれは請求書が届き始めるでしょう。
まとめ
費用の関係で一度に全社の手続きができない方もいらっしゃいます。
その場合は、一社ずつでも解決して今後の憂いを除いておくのが得策です。