A 時効の援用(えんよう)とは

「時効の援用(えんよう)」とは本当に簡単に言うと、「時効だよ、と主張すること」です。

もう少し詳しく言うと、「時効の利益を受ける者が時効の利益を受けますよと意思表示すること」です。

援用という言葉はわかりにくい

「援用」という法律用語は日常生活ではあまり使いませんよね。

当事務所には「時効のなんちゃら手続きお願いします!」という電話がよくかかってきます。

慣れているので、「なんちゃら」でも問題ありません。

「時効の援用のことですね?」とすぐにわかります。

「援用」は「主張」と読み替えてみる

皆さまに一つ提案です。

いろいろなホームページで「援用」という言葉が当たり前のように出てきますが、「主張」と読み替えてみてはいかがでしょうか?

皆さまは法律家になるための試験を受けるわけではありませんので、だいたいの意味がわかれば十分なはずです。

例えば、次の条文を見てください。

(時効の援用)
民法第145条
時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

民法145条の「援用」を「主張」と置き換えてみましょう。

「時効は、当事者が『主張』しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」と読みかえると意味がわかるのではないでしょうか。

この条文は「当事者が時効の主張をしないのに、勝手に裁判所が時効にはできないよ」という意味ですね。

裁判中であっても、裁判中でなくても、時効は援用(主張)しないと、勝手に時効にはなりません。

これは大事なことなので、覚えておいてください。

例えるなら、無料クーポンを持っていても、お会計時にクーポンを出さないと勝手に無料にはならないのと同じようなものでしょうか。